鎧伝サムライトルーパー OVA(オリジナルビデオアニメ) MESSAGE(メッセージ) |
MESSAGE 考察 補足 |
2017.4.18 現代社会は 人が人を殺す、殺人のニュースはほぼ毎日流れています。近年、事件の凶悪化は衰えるどころか増す一方です。他人を・家族を・親を・子を殺す、殺人事件は人間がいる限り 無くならないのでしょうか? 最近も恐ろしさを憶える事件がありました。9歳の女の子が殺害され、保護者会の会長が被疑者として逮捕されました。その人物は見守り隊という子供を守る立場にまぎれていたのです。しかも過去、その近辺で起こった事件との関わりも囁かれています。誰を信じていいのか?誰も信じられないのか?そんな時代になってしまいました。 そして世界情勢を見れば、いつ戦争が始まってもおかしくない緊迫した状態です。 そんな時思い出したのが「サムライトルーパー メッセージ」です。何か釈然としない内容・結末に感じていた違和感、そして作品に隠されたメッセージに気が付いたような気がしたのです。 引っかかっていた秀のセリフ 「遼よ、何と戦うってんだ。今度は敵なんていやしない、過去の自分と戦うんだ。妖邪は倒したぜ、そこから何を得たんだ?その事が問われるんだ。俺、何も得ちゃいない。何も残していないんだ。・・・同じなんだ。力を振り回す自分を止める事が出来ないんだよ。」 敵はいない。 すずなぎは敵ではなくキリシタン弾圧で幕府に殺された犠牲者。さらには、すずなぎの過去(人が人を殺す恐ろしい事実)を直接見せられる事で、さらに人間について悩んだのでしょう。人間の恐ろしさを感じたのかもしれません。 過去の自分とは 力で妖邪を倒した自分達と、幕府は変わらないという事。 そこから何を得たんだ?何を得ちゃいない 妖邪も人間の怨念が生み出したもの。結局、世界中の人類が変わらない限り悲劇は繰り返される。 同じなんだ。力を振り回す自分を止める事が出来ないんだよ 自分というのはずっっと、秀が自分自身の事を言っていると思って意味が分かりませんでしたが、人間全体の事を指して言っていたのならつじつまが合います。トルーパーが勝っても人間は変わっていない。正当な理由を付けて軍事力などを持っても、結局人間は その力を振り回す自分を止める事が出来ない。メッセージ1巻が発売されたのが1991年3月。あの湾岸戦争が始まったのが同年の1月という事実が確信を深めます。 メッセージというタイトルに込められた思いは・・・ 池田監督は当時、「メッセージという言葉いろいろな意味でとらえてくださって良いと思います」「僕にとっては5人からのメッセージが聴きたくて5人の声が聞こえるように仕事をしたつもりです」と語っています。 最後に5人は鎧を身に付け、サムライトルーパーとして生きる事を選びます。当時出版されたラポートの解説によれば、人の心を成長させるという使命が与えられた、と書いてあります。 当時は何となくしか理解できませんでしたが、今はそれがどれほど困難か、いや不可能な事ではないかとさえ思います。人類全部の心を正しいものにするなんて。 「鎧をまとった戦士」は軍事力などの力を持った人類を重ねているのではないでしょうか?持つ者の心によって正義にも悪にもなる。四魔将の存在からもそれが伺えます。 5人は人の心を変えると言っても、何をどうするのかは描かれていません。それは答えがない(多くの人間の心を変える明確な術がない)からなのではないでしょうか? 答えは「メッセージ」を見た人に委ねられたのではないかと思いました。あくまで推測ですが、「一人一人が正しい心を持って平和な世界を築いてほしい」と。 当時から凶悪な事件や戦争はありました。池田監督は、このままだと世の中どうなるのかと心配していたのかもしれません。人はどうあるべきか 5人にその答えを聞きたかったのか、5人から見てる人へ上記のようなメッセージを送って欲しかったのかもしれません。 さら今の不安定な世の中を考えると、人類全体に対する警鐘だったのかもしれません。秀の「何も残していない」とは、「5人だけが頑張っても人間全部が変わらないと意味がない」「誰かがやるだろうではなく、人間一人一人が正しい心を持っていないと平和な世の中は永久に来ない」というメッセージだったのでは・・・。 そう考えるとあの作品の重苦しさ、釈然としない内容と結末に納得がいくのです。 「鎧伝サムライトルーパー」で説かれた正しき人の心、それは安易な理由ではなく、非常に重く難しいテーマだったのかもしれません。5人は悩み、苦しみながらも、人があるべき正しい心を我々に示してくれました。 |
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