鎧伝サムライトルーパー

鎧伝サムライトルーパー OVA(オリジナルビデオアニメ)
MESSAGE(メッセージ)
紹介 & ストーリー解析



MESSAGE Vol.3
「砕かれた自信」
  
91.6.21発売。 監督・脚本・絵コンテ:池田成/作画監督:塩山紀生
当時定価 \3900

ストーリー
古びたビルの地下室。黙々と腕立て伏せを続ける秀と、台本に見入る征士。その台本の内容は・・・白と黒の輝煌帝と対峙する5体の鎧。二体の輝煌帝は上空からそれぞれ剛烈剣とブーメランを投げ下ろす。その光によって次々と倒れる5体。勝者となった二体の輝煌帝は鎧からまばゆい光を放った・・・。

「五人の鎧が輝煌帝を打ち砕いたのは揺るぎの無い事実。あれは正等な鎧世界の流れではなかったのか?」「バカヤローが・・・あの時、俺らに死んでろって言うのかよ・・・!」そう言うと何処かへと駆け出す秀。

征士は刀を置き、滝の前で一人瞑想していた。「我々の・・・サムライトルーパーとしての責務は終わってはいないのだ・・・!」その様子を伺うすずなぎ。ネオステージ・・・二体の輝煌帝が発する光に光輪は苦しむが再び剣を構える。その剣はみるみる雲っていき完全に輝きを失う。そして大きく飛翔すると二体の輝煌帝を一刀両断し葬り去った。

迫る殺気を感じ取る征士。目を開くとそこには光輪の鎧が仁王立ちになっていた。そしてゆっくりと剣を振りかぶる。征士は咄嗟に刀に手を伸ばす。自らの行動に驚く征士。「この心ある限り迷いは解けぬ!」征士は刀から手を引き、立ち上がると、まっすぐに光輪を見つめる。

光輪は跪くと光輪剣を征士に献上した。それを受け取った征士は高々を剣を掲げる。「力に力で応えるは、まさに愚の骨頂!浸れ、身よ!心に!」光輪剣はまばゆい輝きを取り戻す。光輪の鎧も剣も消え、征士自身の身体が光に包まれる。「我が道に陰りなし!光ここに舞う限り!」その光景を見て驚いたすずなぎは、なす術なく姿を消していった。

ビルの屋上に秀は立っていた。「匂う、匂うぜ、鎧の匂いがよ!・・・さぁて、と・・・」そう言うとそこから真っ逆さまに飛び降りる秀。地面に激突する瞬間、いきなり彼の身体は宙に止まる。衝撃に耐える秀。「へへっ!そうだろうって!5人の命が必要だもんな、輝煌帝を呼び出すにはよ!!」

そこへ新たな金剛の鎧と共に現れたすずなぎは秀へ攻撃を繰り出す。軽やかに舞い、かわす秀。同じ頃、征士は台本の舞台が演じられた芝居小屋が新都心ビルそっくりである事を発見し、急いでそこへ向かう。

「随分派手なマネしてくれるじゃねえか!たかが輝煌帝のためによ!」「確かに、この鎧を作りし目的は輝煌帝を今一度ここに呼び出し、正しき光の正しき導きを示すこと・・・」「何か正しいんだ!輝煌帝の鎧はな、全てを消し去ろうとしていたんだ!破滅の未来が正しき道だって言うのかよ!」

すずなぎの命によって秀へと迫る新たな金剛の鎧。「残念だったな、俺は輝煌帝の部品になるつもりはないぜ!!」言葉と同時に力の限り、鎧に拳を叩き込む秀。一瞬の静寂の後、金剛の鎧から突如閃光が閃き、空にビジョンを映し出した。

・・・それは紅葉が舞い散る中、母親と歩く幸せに満ちていた頃の幼きすずなぎの姿だった。それを見て驚くすずなぎ。「かあさま・・・」やがてその表情は哀しみへと変わった。「秀ー!!」そこへ駆け付ける征士。思わぬ征士の出現にすずなぎは鎧と共に引き下がる。

「待ちやがれ!」秀は金剛の鎧に飛びつく。「やめろ、秀ー!!」「金剛の鎧か何か知らないが、貴様の力、俺が試してやるぜ、武装ー!金剛ー!!」
閃光がほとばしった後、結界は消えさり青い空が広がる。そこには既にすずなぎの姿も秀の姿もなかった。「始まりなのか、それともこれが終わりなのか・・・」征士は一人新都心ビルへと向かった。
解説
ナレーションは征士の回。征士はトルーパーの心の要ともいうべき存在でした。そのため、それまでの戦いが辛かった〜的な事を吐露する内容ではなく、冷静な分析で振り返る(征士らしい堅苦しく難しい言葉で)という感じです。

●征士と秀はどこにいた?→特に裏設定もなく、ビルの地下室としかわかりません。電気は通っていたようなので廃墟でもなさそう。2巻で皆別れたのに征士と秀だけ落ち合って2人でいたのも謎です(怪しい?w)。ラポートの推測では彼らの溜まり場かもしれないと。(そんなに普段5人で遊んでないと思いますが・・・)

●「次に消えるのはお前かもな」の意味は?→ラポートの推測は・・・秀が単純で敵の挑発に乗りやすいから。また、征士は精神修行が出来ているので簡単に捕らえられない自信があったのかもしれません。征士は悪気はなくても他人をムッとさせる発言をする事がある。対する秀はそれを受け流せる性格。だから征士も気軽に言えたのではないでしょうか?これが征士と伸ならばお互いグサグサ刺さる言葉を投げあい落ち込んだかもしれません・・・との事。つまり、特に根拠はなく、征士なりの注意を促す言葉だったのでしょう。

●2体の輝煌帝対5体の鎧の舞台の意味は?→台本では2体の輝煌帝が5体の鎧に勝つという現実とは違った結末でした。そのため征士は自分達が輝煌帝を倒したのは間違いだったのかと疑問を持ちます。それに対し秀は「あの時俺らに死んでろって言うのかよ」と最もな反論をしました。

対立すべき白と黒の輝煌帝が共闘しているように見えましたが、その理由は触れられていません。征士が瞑想中に見た、光輪が輝煌帝を倒したシーンは台本ではなく、すずなぎが征士に見せたイメージかもしれません。

●すずなぎはなぜ一度征士から手を引いた?→征士が全てを理解していたから。「恨み、怨念による所業か!?」と言った時に、今度の敵は力で相対するのではなく、浄化が必要だと気付いたようです。そして、すずなぎも征士の心を見誤っていました。すずなぎが取った作戦は悪奴弥守が征士を妖邪界に引き込んだものと同じらしいです。征士は精神的に大きく成長しており、力に力で応える事はありませんでした。これでは取り込めないと悟ったすずなぎは、一度身を引くしかありませんでした。

●秀はなぜ飛び降りた?→すずなぎを呼び出すため。征士とのやり取りで、秀が最初に敵の目的が輝煌帝であると気付きました。5人の命が必要なため、すずなぎが秀を止めに出て来ざるを得ない状況を作りました。すずなぎが征士から一度退散したから間に合ったようなものの・・・(でもその場合、鎧の力が守ったかもしれません)。

●征士が舞台小屋を見つけた場所は?→これも全く触れられていないため不明です。どこか広い家の蔵のような雰囲気ですが・・・ナスティ邸?それにしてはすぐ新都庁まで駆け付けられましたが・・・。
●輝煌帝って砕けたのでは?→すずなぎとのやり取りから察するに、5人が望めばまた輝煌帝は現れるとしか思えない展開です。輝煌帝伝説でせっかく破壊したというのに・・・

●秀が鎧にパンチした時現れたビジョンは?すずなぎが見せたものなのか?→すずなぎの故意によるものなのかは、ラポートもページによって書く事が違っているので困ります。「その意外な映像に彼女は驚く」「秀を取り込むための手段だったのか。それとも義の心に鎧が反応したからなのか」「・・・だからこそああいう形で秀を取り込んだのだ。自分の怨念の原型となっている母の幻まで見せて・・・」といった感じでした。

個人的な推測では、すずなぎ自身驚いていたので故意ではないでしょう。5巻で明かされる事ですが、すずなぎの鎧には母の愛が込められています。義の心に反応したのかはわかりませんが、その母の愛が見せたものと考えるのが一番自然かと思います。

●なぜ秀は自ら武装した?→ラポートでは・・・秀は一番最初に敵の目的が輝煌帝だと気付いた。秀はTV版13話以降、最も鎧と心のあり方に考えを巡らせていた人物。だからこそ。鎧を悪用する者を許せない。鎧を失った後も戦う理由はその一点。だからこそああいう形で秀を取り込んだ。自分の怨念の原型となっている母の幻まで見せて(ここは前述の通り、母の映像が故意かどうか、ラポートの解釈がブレている部分)。こうして秀は自分から鎧を着る事を決意する。

しかし別のページでは、すずなぎが逃げる素振りを見せた瞬間、無意識に武装してしまう秀であった。・・・とも書かれています。
・・・それらを総合すると、鎧を悪用する者を許せない、単純に悪は許せないという秀の性格を分かっていて、あえてすずなぎは輝煌帝で全てを消し去ろうとする目的をあっさり喋ったのだと思います。秀を怒らせ、戦わせようとするために。

ちなみに、すずなぎの怨念で作られた鎧だけに、取り込まれる(武装する)とすずなぎの心がわかるようです。そのため単に動きを封じられただけではなく、その哀しみを知り力で倒すべき相手ではないと悟りました。
当時の感想
当時、まず思ったのは、輝煌帝って砕けたはずなのに呼んだらまた出てくるの?という事でした。すずなぎの目的は謎に包まれていましたが、輝煌帝は壊れたと思っていたので、また呼び出そうとしているとは考えませんでした。しかし結局は世界を破滅させようというのはありがちすぎる目的でした。

秀と征士が2人だけで落ち合ってたのも謎。溜まり場であれば偶然そこで会ったとも考えられますが・・・??そもそも、5人は力を合わせなければならないのはTV1話からわかっている事なのに、なぜ当麻がいなくなった後、バラバラに行動するのか?そこは何も触れられていないため、演出上の理由としか思えません。征士のナレーションではありませんが、裏付け(理由)が欲しいのだ。騙してくれるだけでいい、という思いです。

パッケージやビデオテープに貼られたシールには「砕かれる自信」と書いてありますが、劇中サブタイトルでは「砕かれた自信」となっています。おそらく劇中サブタイが正しいと思うので、パッケージ表記は間違いでしょう。
なお、DVDパッケージでは「砕かれた〜」と書かれています。(しかし封入ブックレットのビデオ初回発売日表では、なぜか「砕かれる〜」になっています)



MESSAGE Vol.4
「さまよえる心」
 
91.7.25発売。 監督・脚本・絵コンテ:池田成/作画監督:塩山紀生
当時定価 \3900

ストーリー
新都心ビルの中、新たな光輪の兜を手に何かに思いを馳せるすずなぎ。「その鎧はお前の心が作り上げたのだ。」すずなぎの結界を破り、突如現れた征士。すずばぎは驚き、咄嗟に兜を投げつけるが、征士はそれを受け止める。

「何をお探しか?過去の自分に押し潰された負け犬、暗闇の未来に打ちのめされた弱虫、理想を真実と取り違えたお人よし、ここにはそんな物しかありませんが」
「さまよえる心、その心が私を呼んだ」

「少しは分かっているつもりだ。理解されぬ孤独も・・・」「だから輝煌帝は必要。この世から全ての哀しみを消し去るために・・・!」
すずなぎの過去の記憶・・・江戸末期、すずなぎの両親が上演した舞台。征士はそこにある光輪の鎧の奥からその映像を見せられる。
にぎやかな舞台。幼いすずなぎと優しい母、明るい劇団員達。しかし突然、幕府の黒船の総攻撃が仕掛けられた。

爆発と炎に包まれる舞台小屋と人々。すずなぎの母親は炎の中で我が子を必死に庇うが・・・。すずなぎの父親は鎧武者の演舞が「幕府に深く反抗するもの」として断罪される。すずなぎの周りの全てのもの、彼女自身までも全てが消し去られた・・・。

征士はあまりの哀しみ、怒りに我を忘れ、刀を手にすると幕府の黒船を鎧の力で両断する。「あなたは今、妖邪となりました。でも誰もあなたを咎められません。あなたにも咎めさせません」

・・・元の新都心ビル。「だから鎧が必要なのだ。さあ、さっさとその鎧をお付け!!」すずなぎは涙を流しながら光輪の兜を征士に押し付け詰め寄る。征士の身体を優しいオーラが包み込む。征士は兜を高く掲げ叫ぶ。「武装ー!」すずなぎは驚きそれを止めようと征士にすがる。征士は穏やかな顔ですずなぎの肩を抱くと光に包まれその姿を消した。そしてそこには新たな光輪の鎧が。すずなぎは泣き崩れる・・・。
解説
回想ナレーションはすずなぎ。と言っても生前の頃のような穏やかなすずなぎが季節や自然、動物などについて語っています。

●「輝煌帝の事は話していないのか?」「当麻が話していたか」当麻が何を話した?→ラポートでも何も触れられていなので不明です。1巻で当麻が輝煌帝について話した事と言えば、ナレーション部分ですが「輝煌帝には心がない」「目的はただ一つ、戦い、破壊、そしてその結末。何も生み出す事のない無・・・」輝煌帝については、全てを消し去るというような事しか言っていません。

征士は輝煌帝は全てを消し去るのをわかっているのか?という事を言いたかったのでしょうか??しかし、それなら3巻で秀も言っている事なので、ここで征士にも同じ事を言わせるかという疑問も・・・。どういう意味なんでしょう??

●なぜ舞台小屋は攻撃、断罪された?→当時の幕府はキリスト教を始めとする異端の宗教を禁じていました。すずなぎの格好からもわかりますが、彼らはキリシタンでした。
そして、舞台の内容。将来、鎧の戦いが起こる時、人の心が邪悪からこの世を救うであろうという世紀末救世主の話。

これが幕府を否定する内容と取られました。幕府は当時、イギリスから購入した黒船まで投入し彼らを討ちました。時は尊皇攘夷に揺れている時代でした。

●なぜ征士は自ら武装した?そして、なぜすずなぎは泣いた?→幻影とは言え力に対し力で対抗してしまった征士をすずなぎは責めます。そしてだからこそこの世の曲がった力を全て消すために輝煌帝が必要だと自分を正当化します。

征士はすずなぎの哀しみを理解しました。彼女の心がもう後戻り出来ない所まで来てしまった事も(泣きながら征士に兜を押し付けたのはそんな理由から??)。敢えて自ら武装したのは、それを行動で示すためだったのではないかと思います。すずなぎから恨みの心を消せた事で、自分の役目は果たしたと思ったのかもしれません。何より、後を託せる仲間がいるからこその行動でしょう。

すずなぎは両親が死に、自分も死んでからずっと一人でした。そんな自分を始めて理解してくれた人が現れました。自分を理解してくれる人がいるのなら、もう輝煌帝を呼び出す必要はない。しかし、その人が自分のために封印されようとしているため、それを止めようとしました。

すずなぎの作った鎧とは言え、すずなぎ自身でも封印されてしまったらどうにも出来なかったようです。初めて自分を理解してくれる人が現れた事、しかしその人が自分のために封印されてしまった・・・だからすずなぎは泣き崩れました。
当時の感想
当時はすずなぎのナレーションを聞いていて再び怒りが・・・怨念を持つすずなぎではなく、穏やかなずずなぎが季節などについて長々長々(約10分!)と喋っています・・・TVシリーズのトルーパーの戦いの映像に乗せて・・・。

今まではトルーパー達が過去の戦いを振り返るから、編集シーンに乗せて喋るのはまだわかりました。しかしこの回は映像と喋りに全く何の関係もない!!
穏やかなすずなぎに喋らせたいなら、生前の映像を新たに作るべきだと思いました。こういう作りにすると決めたのなら、なぜそこまで拘らないのか?結局、編集シーン使えれば喋りは何でもいいのか、これでは手抜き、節約と思われても仕方ないのでは?と思ってしまいます。

小林プロデューサーの話では、「トルーパー1人1人に語らせているだけでは飽きがきてしますので、視点を変えてすずなぎに語らせてみようという意味合いなんです」
・・・という程度の理由でした。あんなに長く語らせるから飽きがくるのでは?飽きがくると分かっているのなら語りをなくせばいいのに、なぜ語りがあるのが前提なのか!?

・・・と当時は怒りました。まあ今も、遼の語りがないのに、すずなぎのこんな関係ない喋りがある事に納得いってませんが・・・。

余談ですが、処刑されるすずなぎの父親は「らんま1/2」の天道早雲(あかねの父)に似てますねw 偶然ですが早雲さんの声はトルーパーTV版ナレーションの大林隆介さんでした。



メッセージその3
5巻へ




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